AI・業務改善
AI業務効率化は何から始める?最初に取り組む業務の選び方
AI活用は、小さく試せて人が確認できる業務から。コピーして使える業務整理シート、候補を比較する架空例、準備・確認・修正も含めた効果の測り方を紹介します。
資料確認・原稿更新:

「AIで何か効率化したい」と思っても、使えるツールを調べるだけでは、自社のどの業務から始めるか決めにくいものです。最初は、毎日の仕事の中で、繰り返し発生している作業を書き出すところから始めます。
Nicoが提案するのは、小さく試せて、良し悪しを人が確かめられる業務を選ぶ進め方です。
1. 「仕事全体」を、作業に分ける
例えば営業資料の作成には、情報収集、数値の確認、構成づくり、文章の下書き、社内確認などが含まれます。一括して自動化しようとせず、どの作業に負担があるかを見ます。
- 仕事全体
- 作業に分解
- 観点で比較
- 小さく試す
- 人が確認
本文の考え方を整理した説明図です。
材料が足りないことが原因なら、AIによる文章生成の前に、情報を集める方法の改善が必要かもしれません。担当者ごとに判断基準が違う場合は、基準を共有することから始めます。
2. 対象業務を五つの観点で比較する
| 観点 | 確認すること |
|---|---|
| 頻度と負担 | どのくらい発生し、誰が何分かけているか |
| 入力情報 | 必要な資料がそろい、利用できる状態か |
| 出力の確認 | 正しいかどうかを誰が確認できるか |
| 誤りの影響 | 間違えた場合に、やり直せる範囲か |
| 運用の担当 | 試した後、使い方を維持する人がいるか |
点数の合計だけで決める必要はありません。負担が大きくても、確認する人がいない業務は初回の対象として慎重に考えます。
3. 最初の候補を決める業務整理シート
次の表はNicoが提案するひな形です。作業ごとに文書や表計算へコピーし、実際に作業する人と確認する人で記入してください。このページ上で入力・保存する機能はありません。時間や頻度が分からなければ、推測だけで埋めず、まず数回の作業を記録します。
| 記入項目 | 確認すること | 自社のメモ |
|---|---|---|
| 作業と担当者 | 仕事全体のうち、どの作業を誰が行っているか | ____ |
| 頻度・現状の時間 | 週・月あたり何回あり、一回に何分かかるか | ____ |
| 入力する情報 | 何が必要で、利用する環境へ入力してよい情報か | ____ |
| 出力の確認 | 誰が、どの資料や基準と照らして確認するか | ____ |
| 誤りと例外 | 間違いの影響は何か、手作業に戻せるか | ____ |
| 試す範囲 | どの資料・利用者・期間に限定するか | ____ |
| 続ける条件 | 時間だけでなく、品質や確認負担をどう比較するか | ____ |
個人情報・機密情報を含む資料は、入力の可否や利用環境の条件を確認するまで投入しません。確認役や判断基準が決まらない業務は、AIツールを選ぶ前にその前提を整理します。
4. 初回に選ぶ業務と、まだ選ばない業務
次は架空の社内業務を使った比較例です。実際の導入実績や削減効果ではなく、候補を選ぶ考え方を示しています。
| 候補 | この例での判断 | 前提・理由 |
|---|---|---|
| 社内会議メモから決定事項の下書きを作る | 条件を確認して小さく試す | 入力が許可された資料に限定し、会議に参加した担当者が元の記録と照合できる |
| 規程について社員へ自動で回答する | 先に確認方法を整える | 最新の規程を参照できるか、根拠を確認できるか、分からない場合の相談先が必要 |
| 顧客への返信を確認なしで自動送信する | 初回の対象から外す | 誤った案内が社外へ出る。まずは人が承認する下書きに範囲を変えられるか考える |
同じ「文章を作る仕事」でも、確認できる人と誤りの影響で進め方が変わります。人が確認することを前提にすれば、どんな情報でも入力してよいという意味ではありません。AIに任せる仕事と人が判断する仕事の分け方も併せて確認できます。
5. 最初の検証は、対象と期間を区切る
想定例として、社内会議メモの整理を試すなら、「特定の定例会で、決定事項と次の作業の下書きをつくり、担当者が確認する」と範囲を決めます。すべての会議や部署へ一度に広げる必要はありません。
導入前の作業時間に加え、AIへの入力準備、結果の確認、修正にかかった時間も記録します。便利だったという感想と、業務として続ける価値があるかを分けて確かめるためです。
比較するときは「従来の準備・作成・確認にかかった合計」と「AI利用時の準備・操作・確認・修正にかかった合計」を、同程度の作業について記録します。誤りが増えた場合や、担当者に確認が集中した場合は、時間が短くてもそのまま広げない判断が必要です。記録する項目は、AI導入の効果を測る方法で詳しく整理しています。
6. 使えるようになってから、広げる
試した結果をもとに、対象業務を続けるか、手順を変えるかを決めます。出力の確認項目、迷ったときの相談先、手作業に戻す方法も残します。
最初の一件で目指すのは、利用者が同じ手順で使い、結果を確認できる状態です。その状態ができれば、近い業務へ展開する際にも判断材料が残ります。
Nicoでは、業務の棚卸しから、検証対象の選定、運用手順づくりまで支援します。時間がかかっている仕事を、そのままお聞かせください。
総務省・経済産業省の「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」では、AI利用者にもプライバシーやセキュリティ、出力の適切な利用などの観点が示されています。業務の候補を選ぶときには、入力してよい情報と、人が確認する範囲を併せて決めます。本記事の比較表はNicoの整理例であり、ガイドラインの公式チェックリストではありません。参考:AI事業者ガイドライン(第1.2版)
